実戦から心体育成まで!テニスにおけるジュニアの練習メニュー

ラケットトラベル

テニス歴20年。
鍼灸師・柔道整復師(国家資格)
専門学校卒業。臨床歴15年以上。
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ジュニア(子供)

こんにちは。ラケットトラベルです。テニスのジュニア向け練習メニューや、初心者の小学生が一人で自宅で行える練習方法など、日々のトレーニングをどう組み立てるべきか悩んでいませんか。大人向けのメニューをそのまま縮小してしまうと、成長期特有の怪我のリスクを高めたり、技術の伸び悩みを引き起こす原因になるかもしれません。この記事では、実戦を想定したコートでのドリルから、神経系を刺激する遊び、さらには怪我の予防策や子どもとのコミュニケーション術まで、育成段階に必要なアプローチを詳しく解説していきます。

  • 試合環境に適応するための実践的なドリルの構成と目的
  • 運動神経の基盤を創るコーディネーショントレーニングの具体例
  • 成長期特有のスポーツ障害を防ぐためのセルフケアとストレッチ
  • 子どもの自主性と自己効力感を高める指導者側のコミュニケーション術

実戦向け!テニスにおけるジュニアの練習メニュー

テニスの基礎技術をしっかりと確立し、実際の試合での勝利に繋げるためには、目的が明確な練習メニューを組むことが大切ですね。ここでは、各ショットの特性やトーナメント環境のプレッシャーを考慮した、より実戦に近いメニュー構成について見ていきたいと思います。コート上での貴重な時間をいかに有効に使うかが、ジュニア選手の成長スピードを大きく左右します。

試合を想定したサーブとレシーブ

ジュニアの公式戦や市民大会に出場したことがある方ならご存知かもしれませんが、プロの大会とは違って、試合前のコートでのウォーミングアップ時間は非常に短く制限されています。多くの大会では「サービス練習が各サイド2本ずつのみ」といった過酷な状況が普通ですね。まだ体が温まっていない状態、しかも極度の緊張状態の中で、いきなり本番のポイントが始まってしまうわけです。

また、公式戦に出場するなら「当日の持ち物」だけでなく、服装規定(ロゴ規定など)も事前に確認しておくと安心です。詳しくはJTA公認のジュニア用テニスウェアガイドも参考にしてみてください。

この特殊な状況でパフォーマンスを最大化するためには、日々の練習の最初の段階で「試合の立ち上がり」をシミュレーションすることが効果的かなと思います。よくある練習風景として、ショートラリーから始まり、ボレー対ボレー、ロングラリーへと徐々に距離を伸ばしていく標準的なウォーミングアップがあります。もちろんこれもグリップの確認などには有効なのですが、そればかりだと「ゆっくり温める」ことに体が慣れてしまいます。

そこで提案したいのが、練習の導入部分にあえて「サーブとレシーブからのポイント形式」を持ってくるメニューです。選手をサーブ側とレシーブ側に分け、例えば「ファーストサーブからの展開を4球のみ」と短い時間や球数で区切りながら交代で打球していきます。これにより、筋肉が未発達で温まりきっていない状態でも、いかにスムーズに体の連動性を引き出し、空間に対する感覚を素早くアジャストしていくかという適応能力を養うことができます。

「試合に入れない」状態を防ぐために
立ち上がりの数ゲームを連続して落としてしまい、気づいた時にはセットが終わっていた…という経験は、多くのジュニア選手が直面する壁です。日頃から「いきなりサーブ」「いきなりリターン」というプレッシャーの中で体を動かす習慣をつけておくと、大会本番での立ち上がりの不調を未然に防ぐことができるはずです。また、ストローク練習ばかりになりがちなジュニアの環境において、テニスで最も重要なサーブの練習量を物理的に確保できるという大きなメリットもあります。

さらに、このサーブ&レシーブの練習に「ポイント制」や「罰ゲーム(軽く走るなど)」といったゲーム性を持たせることで、適度な緊張感を生み出すことができます。サーブを打つ前のルーティン(ボールをつく回数や深呼吸など)もこの段階でしっかりと確認させ、本番と同じ精神状態でコートに立てるよう指導していくことが、実戦に強い選手を育てる第一歩になると思います。

小学生向けストロークの基礎

ストロークはテニスの基本中の基本であり、特に小学生やジュニア期には、正しいフォームとフットワークの連動、そして体重移動の感覚を体に覚えさせることが何よりも重要です。友達同士で楽しくラリーをするのもテニスの魅力を知る上では素晴らしいことですが、それだけではどうしても自己流の癖がついてしまいがちです。基礎的なスイング軌道や適切な打点の感覚を深部感覚にまで浸透させるためには、やはり指導者による正確な球出し練習を徹底して繰り返すことが上達への近道ですね。

なお、フォームづくりの段階で意外と差が出るのが「ラケットが体格に合っているか」です。長さや重さが合わないと、手打ちになったり、肘や肩への負担が増えやすくなります。年齢・身長別の目安は子供(ジュニア)年齢別 テニスラケットの選び方が参考になります。

球出し練習には大きく分けて「手出し」と「ラケット出し」がありますが、特におすすめなのは実戦に近い「ラケット出し」によるドリルです。手出しはどうしてもボールの軌道が山なりになりがちですが、ラケット出しであれば、実際のラリーで飛んでくるような生きたボールの回転、スピード、軌道を再現できます。指導者がサービスラインの中央(Tマーク付近)から配球することで、選手は飛来するボールの情報を早期に処理し、素早くテイクバックを完了させる能力を養うことができるのです。

具体的な実践メニューとして取り入れたいのが、「2点打ち(2-point hit)」と呼ばれる戦術的ドリルです。これは、まずベースライン深くの厳しい位置にクロスボールを打ち込んで相手を押し込み、その直後に相手が体勢を崩して返してきた浅いチャンスボールに対して、素早く前傾姿勢で入り込んで攻撃的に打ち抜く、という一連の流れを反復するものです。テニスにおいて最も基本的でありながら、最も決定的なポイント取得パターンですね。

打点の確認と声出しの工夫
小学生の場合、ただ黙々とボールを打っていると集中力が切れやすくなります。そこで、ボールがバウンドした瞬間に「イチ」、自分がボールを打つインパクトの瞬間に「ニ」と声に出させる方法が効果的です。これにより、ボールとの距離感(定位能力)とスイングのタイミングが合いやすくなり、窮屈な手打ちになるのを防ぐことができます。

また、ストロークの基礎を固める段階では、どうしても「強く打つこと」ばかりに意識が向きがちですが、「ネットの少し高い位置を通して深くコントロールする」という安全性の高いクロスラリーの徹底も重要です。対角線を利用するクロスはコートの距離が最も長く、ネットの中央が最も低いため、理にかなった戦術のベースとなります。この基礎がしっかりしていないと、試合でプレッシャーがかかった時にミスを連発してしまう原因になります。

フットワークを鍛える球出しドリル

テニスは「足で打つスポーツ」と言われるほど、フットワークが命です。どんなに綺麗なスイングを身につけても、ボールの落下地点に正確かつ迅速に体を運べなければ、その技術を発揮することはできません。特にジュニア期には、ボールを追いかける際のダッシュ力だけでなく、急ストップ、方向転換、そして打球直後のバランス維持といった、複合的な敏捷性を鍛える必要があります。

そこでおすすめしたいのが、心肺機能と敏捷性を極限まで高めることを目的とした「8の字ストローク」という高強度ドリルです。コート上のベースライン付近に2つのコーン(またはマーカー)を数メートル離して設置し、その周囲を無限大(8の字)を描くように移動しながらフォアハンドとバックハンドを交互に打ち続けるメニューです。サイドステップやクロスステップといった細かいフットワークを連続的に行うため、足腰への負担が大きく、無酸素運動への耐性が強烈に鍛えられます。

この8の字ストロークの最大のメリットは、激しい移動直後の不安定な体勢からでも、瞬時に体幹を安定させて正確にボールを捉える「動的バランス能力」が飛躍的に向上することです。実際の試合では、立ち止まって綺麗に打てる場面などほとんどありません。常に走りながら、あるいはバランスを崩されながらも、なんとか相手コートにボールを返球しなければならない状況の連続です。このドリルを例えば「1分間全力」といった時間設定で行い、インターバルを挟みながら数セット繰り返すことで、試合終盤でも足が止まらないスタミナと精神力を養うことができます。

2対1ラリーによる戦術的負荷の導入
基礎的なフットワークとフォームが固まってきたら、1人の選手に対して2人でコートの左右前後にボールを打ち分ける「2対1ラリー」を取り入れるのも非常に有効です。1人側の選手は、コート全域をカバーする脚力と、次に来るボールの軌道を予測する認知能力が極限まで求められます。一方で、2人側の選手も単に打ち返すだけではなく、「相手の逆を突くにはどう配球すべきか」「前後に走らせて体力を奪うにはどう組み立てるか」といった、攻撃の組み立て方とゲームコントロールの術を実戦形式で学ぶことができる優れたメニューです。

こうした厳しいフットワークドリルを行う際は、指導者からの「ナイスラン!」「足動いてるよ!」といったポジティブな声かけが選手の限界を引き出す鍵になります。苦しい練習だからこそ、達成感を感じられるような雰囲気作りを心がけたいですね。

ネットプレーとボレーの強化

現代のジュニアテニスでは、ベースラインでの強力なストローク戦が主流になりつつありますが、だからこそネットプレーの精度が試合の勝敗を分ける決定的な要素になります。お互いにストロークが安定している場合、ラリーの膠着状態から抜け出してポイントを確実にもぎ取るためには、勇気を持って前に詰め、ボレーで仕留める戦術が不可欠です。しかし、ストロークに比べてボレーの練習に割く時間が圧倒的に少ないジュニア選手が多いのも事実です。

ボレーの基礎練習では、まずネットからの距離を意図的に変化させながら、ローボレー(膝より下)、ミドルボレー(腰の高さ)、ハイボレー(肩より上)といった高さの打ち分けをラケット出しで反復し、体に染み込ませていきましょう。特にローボレーでは、ラケットヘッドを下げずにしっかりと膝を曲げて腰を落とす動作が必須です。手先だけでボールに当てにいこうとすると、ネットミスや浮いたチャンスボールになってしまいます。正確なラケット面のセットと、打球方向への下半身の鋭い踏み込みを徹底的に反復させることが重要ですね。

グリップの握り方もボレー上達の大きな壁になります。ストロークで厚いグリップ(ウエスタングリップなど)に慣れている小学生は、ボレーでもそのまま握りがちですが、これではとっさのバックハンドボレーやローボレーに対応できません。包丁を握るようなコンチネンタルグリップを早い段階で習得させ、フォアとバックの握り替えなしで瞬時に対応できる感覚を養うことが大切です。

基礎が身についたら、ダブルスを想定したポーチボレー(前衛での斜め前方への鋭いインターセプト)の動きを取り入れることで、瞬発的な加速力と決断力を鍛えることができます。斜め前に鋭く踏み込んでボレーを決める感覚は、シングルスでのアプローチショットからのボレーにも直結します。そして最終段階として、「ボレスト(ネットプレーヤーのボレー対ベースライナーのストローク)」の実戦形式に移行します。生きたボールの強烈なスピード感の中で、瞬時に視覚情報を処理し、ラケットの芯で正確にボールの勢いを殺す(あるいは弾き返す)能力を高めていくのがおすすめです。

決定力を高めるスマッシュの反復

スマッシュは、テニスという競技における「究極の決め球」です。相手が苦し紛れに打ち上げたロブを、空中で叩き落とすように決めるこのショットは、ポイントを奪うだけでなく、相手に精神的なプレッシャーを与える絶大な効果があります。しかし、いざ試合になると「ミスをしたらどうしよう」という不安から、ラケットを振り切れずにネットにかけたり、アウトにしたりするジュニア選手が非常に多いですよね。

この原因は明確で、日々の練習メニューにおいて独立した時間を設けてスマッシュを徹底的に練習する機会が圧倒的に不足しているからです。ストロークやボレーのついでに行う数本のスマッシュ練習では、試合の緊迫した場面で確実に決める自信は育ちません。スマッシュこそ、反復練習による「成功体験の蓄積」が最も顕著に表れるショットかなと思います。

具体的な練習メニューとしては、まず指導者による正確なラケット出しで、落下地点への素早い入り込みを反復します。ここで重要なのは、ボールから目を離さずに、カニ歩きのようなサイドステップやクロスステップを使って細かく後退する足さばきです。また、左手(右利きの場合)を高く上げてボールを指差すことで、空間におけるボールとの距離感を正確に測り、左肩が早く開いてしまうのを防ぐ壁の役割を持たせます。

基礎的なフォームが安定してきたら、「スマッシュ対ロブ」という実戦形式のドリルが極めて有効です。一方がスマッシュを打って攻撃し続け、もう一方が高く深いロブを上げて凌ぎ続けるという練習です。実際の屋外コートでは、風向きによってボールの軌道が急激に変化したり、太陽の強烈な光が目に入ったりといった外部環境要因が大きく影響します。滞空時間の長いロブに対して、こうした予測不可能な要素も計算に入れつつ、微調整のステップを踏み続けてベストな打点でインパクトする。この高度な空間認知能力とフットワークは、実践的なドリルの中でしか養うことができません。

スマッシュ練習での肩への負担への配慮
スマッシュは全身のバネを使うダイナミックな動きですが、それゆえに肩関節や背中への負担が非常に大きいショットでもあります。特に成長期のジュニア選手に、疲労が溜まった状態で大量のスマッシュを打たせることは、肩の怪我(インピンジメントなど)の直接的な原因になります。練習の球数やセット数は選手の体力に合わせて慎重に調整し、痛みがないか常に確認しながら行うようにしてください。

心体育成!テニスにおけるジュニアの練習メニュー

テニスを長く続け、高いレベルを目指すのであれば、コート上での技術的な練習だけでは限界が来ます。体を自分の思い通りに動かすための神経系の発達や、過酷な練習に耐えうる体のケア、そして何より「テニスが好きだ」「もっと上手くなりたい」という内面からのモチベーションを育むメンタル面へのアプローチが、ジュニア期には欠かせない要素かなと思います。ここでは、より根本的な「心・体」の育成について深く掘り下げていきましょう。

初心者から始めるコーディネーション

テニスを始めたばかりの小学生や、一生懸命練習しているのになかなか上達しないジュニア選手を見ていると、その原因の多くは筋力や持久力の不足ではなく、「自分の身体を思い通りに操作する能力」の未発達にあることがわかります。飛んでくるボールのスピードや回転を瞬時に予測し、走りながら適切な打点に入り、複雑な体のひねりを使ってラケットを振り抜く。テニスは、スポーツの中でもトップクラスに高度な情報処理と運動連鎖を要求されるオープンスキル型の競技です。

特に「ゴールデンエイジ」と呼ばれる9歳から12歳頃の時期は、一生に一度だけ訪れる、神経系が著しく発達する黄金期です。この時期に、テニスの専門的な技術(フォアハンドの打ち方など)ばかりを偏って詰め込むことは、将来的な運動能力の伸び代を狭めてしまうリスクがあります。そこで現代のスポーツ科学において強く推奨されているのが、あらゆる運動の土台となるコーディネーショントレーニングの導入です。

コーディネーション能力は大きく7つに分類され、それぞれがテニスの動作と密接に結びついています。以下の表に、その能力と具体的なトレーニング例をまとめましたので、日々のウォーミングアップなどにぜひ取り入れてみてください。

能力名テニスにおける役割具体的なトレーニングメニュー
反応能力スプリットステップのタイミング、相手のモーションに対する予測視覚や聴覚のシグナル(コーチの手拍子など)に合わせた急ダッシュや方向転換
定位能力空間でのボールとの距離感、自分のコート上のポジション把握高く上げたボールの落下地点へ素早く移動し、ノーバウンドでキャッチする
バランス能力崩れた体勢からの立て直し、強打時の体幹のブレ防止ケンケン(片足跳び)での鬼ごっこ、ジャンプして空中でピタッと静止するエアバランス
変換能力イレギュラーバウンドへのとっさの対応、切り返し動作スプリットステップから前後左右へランダムに急加速する、フェイントを入れる
リズム能力相手の打球リズムとの同調、流れるようなスイングの習得走りながらボールをつく(ドリブル)、ステップと腕の振りを合わせる
識別能力ラケットの微妙な面作り、ドロップショットなどのタッチ感覚目隠しをしてボールの重さやラケットの重心を感じ取る、空中での連続お手玉
連結能力下半身の力を体幹から腕へ伝える運動連鎖(キネティックチェーン)手足の非対称な逆動作、関節の可動域を最大限に使った滑らかなシャドウスイング

これらの能力の中でも、特にテニスのブレイクスルーの鍵となるのが「定位能力」と「連結能力」です。ボールとの距離感を正確に測り(定位)、足の蹴りを無駄なくラケットの先端まで伝える(連結)ことができれば、小柄な選手でも驚くほど力強いボールが打てるようになります。

自宅でもできる遊びと神経系の強化

コーディネーショントレーニングと聞くと、コーンやラダーを並べて、コーチの厳しい号令に合わせて行う整然としたドリルを想像するかもしれません。しかし、特に小学生以下のジュニア選手において、そうした単調な反復練習はすぐに飽きられてしまいます。むしろ、予測不可能な要素や純粋な楽しさを伴う「遊び」の感覚を取り入れることで、大脳皮質がより活性化し、無意識下での運動制御能力が飛躍的に高まることがわかっています。わざわざコートに行かなくても、自宅や公園でできる遊びが、実は最高のトレーニングになるんです。

日本の伝統的な遊びに隠されたスポーツ科学的価値
最近の子供たちは外で遊ぶ機会が減っていますが、昔ながらの遊びには驚くべき効果が秘められています。例えば「お手玉」は、複数の物体の放物線軌道を周辺視覚で捉え、左右の手を別々に動かし(連結)、落下地点を予測し(定位)、瞬時にキャッチとスローを切り替える(変換)という、テニスに必須の能力を同時に鍛えられる究極の脳トレです。また、目隠しをして行う「福笑い」や「スイカ割り」も、視覚に頼らずに頭の中で空間のレイアウトを構築する能力(空間認知)を高め、ノールックで相手コートの厳しいコースを狙う感覚を養うのに非常に役立ちます。

テニスラケットとボールを使った微細な遊びも、自宅の前などで簡単にできます。例えば、ラケットの面に乗せたボールをポンポンと上に弾ませるリフティングは定番ですが、難易度を上げて「ラケットのフレーム(枠)でボールを弾ませる」といったチャレンジは、究極の集中力とラケット面のコントロール(識別能力)を要求されます。

さらに効果的なのが、「飛んできたボールを、ラケット上で一度も弾ませずに、まるで吸い付くように吸収してキャッチする」という遊びです。おたまじゃくしを網でそっとすくうような感覚ですね。これを成功させるには、ボールとラケットが接触する瞬間に、ラケットをボールの進行方向と同じスピードでスッと引くという、極めて高度な衝撃吸収のメカニズム(筋肉の遠心性収縮)が必要です。この柔らかいタッチ感覚が身につけば、実戦でのドロップショットや、相手の強打をふわりと返すドロップボレーの成功率が劇的に上がります。利き手だけでなく、非利き手でもチャレンジさせることで、脳の左右のバランスも整いやすくなりますね。

怪我を防ぐ成長期向けのストレッチ

ジュニア選手の育成において、技術の向上と同等かそれ以上に絶対的な優先順位を持つのが「怪我の予防と体のケア」です。成長期の子供たちの体は、骨(長管骨)が急速に伸びるスピードに対して、筋肉や腱の柔軟性が追いつかず、常にピンと張ったゴムのように強い緊張状態にあります。このアンバランスな時期に、大人と同じような過酷な練習メニューや筋力トレーニングを無理に消化させることは、選手生命を脅かす致命的なスポーツ障害に直結してしまいます。

特にテニスにおいて多発するのが、肩や肘などの上半身の障害と、膝などの下半身の障害です。サーブやスマッシュといったオーバーヘッドの動作を繰り返すと、肩甲骨の可動域が狭い選手の場合、肩の腱板が骨に衝突して炎症を起こす「インピンジメント症候群」を引き起こす危険性が高まります。これを防ぎ、しなやかなスイングを生み出すために、日頃から「ハグストレッチ」を習慣化しましょう。両腕を水平に大きく開いて胸を開き、そこから自分自身を深く抱きしめるように腕を交差させる動作を、角度を変えながら繰り返すことで、肩甲骨周りの筋肉の癒着を防ぐことができます。

また、肘に違和感が出やすい選手は、無理に我慢せず「負担を減らす工夫」も大切です。痛みがある時期の対策としては、テニス肘サポーターどこで買える?ドラッグストア徹底調査も参考になります。

また、成長期特有の最も警戒すべき下半身のスポーツ障害が「オスグッド・シュラッター病」です。テニスのダッシュや急ストップ、ジャンプといった動作のたびに、太ももの前側の強大な筋肉(大腿四頭筋)が収縮し、その腱が付着している脛(すね)の骨の柔らかい部分を強力に引っ張り続けることで、骨が隆起して激しい痛みを伴います。(出典:日本整形外科学会『オスグッド病』)

このオスグッド病を予防するためには、単に痛い部分を冷やすだけでなく、力学的ストレスの根本原因を取り除くセルフケアが必須です。具体的には、横向きに寝た状態で上の膝を曲げ、足首を掴んで太ももの前側をじっくりと伸ばす「大腿四頭筋のストレッチ」が最も効果的です。さらに、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性も確保し、着地時の衝撃を足首でしっかり吸収できるようにすることで、膝への負担を分散させることができます。

【健康と安全に関する重要な注意点】
ここで紹介したストレッチやケア方法は、あくまで怪我を予防するための一般的な目安です。もし子供が膝や肩に痛みや違和感を訴えた場合は、「成長痛だからそのうち治るだろう」と自己判断で放置したり、無理にストレッチを強要したりすることは大変危険です。症状を悪化させ、最悪の場合は手術が必要になるケースもあります。正確な情報は公式サイトをご確認いただき、痛みが続く場合の最終的な判断は、必ず専門の整形外科医やスポーツドクターにご相談ください。

自主性を引き出すコミュニケーション

どれだけ科学的に優れた練習メニューを組み、完璧な身体ケアのプログラムを用意したとしても、指導者(コーチや保護者)から選手への「声かけ」が不適切であれば、すべては水の泡になってしまいます。ジュニア選手の内発的動機づけ(自ら進んでテニスに取り組む意欲)を育て、長期的な成長を促すためには、戦術指導と同じくらい、心理的安全性に配慮したコミュニケーションスキルが重要だと私は実感しています。

子供が自分自身でプレーの課題に気づき、解決策を見つけ出せるようにするためには、まず大人の側が「徹底的に聴く姿勢」を持つことが出発点です。例えば、試合で負けて落ち込んでいる子供が「バックハンドが全然入らなかった…」とこぼした時、つい「だからいつも言ってるように打点が遅いんだよ!もっと前で打たなきゃ」と、即座に正論の解決策を押し付けてしまいたくなりますよね。しかし、これでは子供の思考プロセスを強制終了させてしまいます。

ここで有効なのが、「は・ふ・へ・ほ・そ」の相槌です。相手の目を見て「へー、そうなんだね」「バックが入らなくて悔しかったんだね」と、まずは感情をそのまま受け止めてあげてください。否定も助言もせずに深く共感を示すことで、「この人は自分の話を安全に聞いてくれる」という信頼感が生まれます。すると不思議なことに、子供は自分のペースで話し続けながら、「でも、足が動いてなかったからかも。次はもっと細かいステップを意識してみる」と、自律的に答えを導き出すようになるのです。コートに一人で立つテニスという競技において、この「自分で考えて修正する力」は最高の武器になります。

「わたしメッセージ(I-Message)」による魔法の言葉がけ
「お前はいつもチャンスでミスする」「だらしない」といった、相手の人格や能力を決めつける「レッテル言葉」は、子供の自己効力感を根本から破壊します。叱る時も褒める時も、事実に基づき「私」を主語にして気持ちを伝える「わたしメッセージ」を使いましょう。
例えば遅刻をした場合、「今日15分遅刻したね(事実)。ウォーミングアップが短くなると怪我のリスクが上がるから(理由)、コーチは君の体がとても心配だよ(気持ち)」と伝えます。これにより、子供は反発することなく客観的に自分の行動を振り返り、素直な行動変容を起こしやすくなります。

まとめ:テニスにおけるジュニアの練習メニュー

ここまで、ジュニアプレーヤーの才能を最大限に引き出し、長く充実したテニスライフを送るための総合的なアプローチについて解説してきました。テニスの練習メニューは、単にコート上で何百球もボールを打たせたり、過酷な筋力トレーニングを強要したりするだけでは決して成立しません。大人と子供では、体の構造も脳の働きも全く異なるという前提に立つことが、すべてのスタートラインになります。

実戦のトーナメント環境を想定したウォーミングアップや、明確な戦術意図を持った「2点打ち」「8の字ストローク」といった球出しドリルによって、競技特異的な「技術」と「体力」を効率的に磨いていきましょう。同時に、コート外でもできる遊びの要素を取り入れたコーディネーショントレーニングによって、複雑な運動連鎖を可能にする「神経系の土台」を緻密に構築することが、将来の爆発的な成長への布石となります。

さらに、成長期特有のオスグッド病や肩の怪我を未然に防ぐため、解剖学に基づいた適切なストレッチとセルフケアの習慣を身につけさせ、「身体の保護」を図ることも忘れてはなりません。そして何より重要なのが、指導者や保護者の温かく、かつ論理的なコミュニケーションです。「わたしメッセージ」や傾聴の技術を用いて、失敗を恐れずに自律的に挑戦できる強靭な「精神性」を育むことが、子供たちへの最高のプレゼントになるはずです。

「心・技・体」というスポーツの伝統的な三要素は、それぞれが独立しているのではなく、互いに深く影響し合っています。これらをバランス良く、かつ戦略的に日々の限られた練習メニューの中に組み込んでいくことが、私たちの重要な役割ですね。毎日の地道な積み重ねと、子供たちへの愛情あるサポートが、彼らの持つポテンシャルを余すところなく開花させ、笑顔あふれる素晴らしいテニスライフの実現に必ず繋がっていくと私は確信しています。ぜひ、今日からの練習に一つでも新しい視点を取り入れてみてください。

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